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2011-11-15

Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives (Apichatpong Weerasethakul, 2010)

人間の目は緑色に対する感度が高いという。我々はやはり森の生き物だったのだろうか。多様な緑の陰影と濃淡の中で生まれ、獣を狩り草木の実を摘み拾って、食べては眠り、交わり別れながら、いつか死んで森に同化していく。緑の世界は我々のアルファでありオメガであるのかも知れない。つまりそこは我々の揺籃であり、墓であったのだ。生と死の対立は、また自他の相違でさえも、果てしなく続く緑の繊細な陰影に同化して輪郭を失っていくだろう。そのような世界から追放されて文明は築かれた。無数の塔に囲まれて洞窟は遠い。